「道徳」の必要性って、なに?
『新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか』北野武著 幻冬舎文庫
え~、まず私の本の買い方は基本
・好きな作家
です。
え?皆さんも同じなの?
まぁ、そうだよね、、、
・・・オホン!
はい、『アナログ』に続き北野武の著作です。
これはジャケ買いの分類で買いました。
全部で5章とおわりにの6章立てになっています。
前半から北野節全開で、もう気持ちいいくらい今の道徳教育に対してツッコミまくってます。
実際本編でも「道徳はツッコミ放題」と言っています。
どうツッコンでいるかは本書をお読み頂くとして、、、(笑)
私がぼんやりと、なんとなく、曖昧な感じで思っていた『道徳教育』に対して的確な言葉でその正体を現してくれました。
「ゴミを拾って街がキレイになると気持ちいいね」
「困っている人を助けると、そのあといい気分になる」
この2つをあげてみても、きっと賛否両論あると思いますが、私としては
・キレイになるのはいい。かと言って気持ちいいかは別の問題。
・困っているから手助けするだけで、気分いいかは別の問題。
そう、行動とその後の心境は別々のはずなのに、それを一緒にして押し付けているようにみえる。
上記2つの例をみても、
・気になるから拾った。
・困っているのを見て、放っておけないから。
が行動した理由になる。少なくとも私の場合は。
なぁ〜んか、変な道徳観を押し付けてる感じがする。それも国家レベルで。
確かに私も「道徳の授業は人として大事な授業だ」なんて事を思っていた時期もありました。
それもちょっとした疑問がでてくると、あっという間でしたね。
道徳というと、最小単位でも道徳観は家族間での事だと書いてある。
みなさんも覚えがあると思います。
・ご飯食べてる時に肘をつかない
みたいな家族ルール。
そういうのも道徳。
本書の途中には、宗教や戦争、食糧問題、自身の経験をもとにいろいろな道徳について書いています。道徳といつものがいつから出来たのか、という事に関しても作者の考えが載っていて面白いです。
あ、ちなみに10ページ目に結論が書いてあるので、時間がない人はそこまで読めばいいと思います。本人がそう言っているので(笑)
個人的な感想としては、昔の価値観を知るのは良いことかもしれないけど、それを押し付けるかのように学校で教えるのはどうかと思う。あと書いてあって納得したのは、時代にあった道徳観を教えないといけないって事。
そして、最近いろんなところで見るようになった「自分で考える事」って所かな。
前回レビューした『アナログ』にも書いたけど、作者は決して現状を嘆いているわけではなくて、昔も良かったけど、これからの時代にはその時代の流れにも乗らないと生きていけないって事が書いてあると思った。
私としてはこの本と『アナログ』は一緒に呼んでほしいと思う。若い頃にたくさんご苦労をされて、四十代で死の狭間を彷徨った作者の人生観が詰まっていると、そう思います。
前回の投稿で貼っていなかったので貼っておきます。